「山手線 = 環状線」はウソだった? 「まあるい緑の山手線~♪」の真実と20.6kmの複雑構造
山手線は「まあるい緑の路線」として親しまれているが、実態は異なる。全長20.6kmの正式区間に加え、東海道本線や東北本線の一部を借用する“寄せ集め”の構造に、都市の変遷が折り重なる。制度と記憶が食い違う「円環の幻想」の正体を、鉄道史から読み解く。
“まあるい線”の誤解

東京の都市機能を支える山手線は、東京の中心部を丸くつなぐ路線として広く認知されている。ヨドバシカメラのCMソング「まあるい緑の山手線~♪」の影響もあり、多くの人が、山手線を円形の環状線とイメージしている。
しかし、実際の線形はまったく丸くない。車内の路線図では、円に近い四角形のように描かれているが、実際の地図上では南北に長く、東西に短い、いびつな楕円形を描いている。
路線図では駅間の距離が均等に見えるが、実際にはばらつきが大きい。たとえば、渋谷~新宿間と渋谷~田町間の距離はほぼ同等だ。駅間の距離もまちまちである。さらに、山手線は厳密には円でも環状でもない。
国土交通省鉄道局監修の『鉄道要覧』によれば、山手線は品川駅を起点に、
「渋谷・新宿・池袋を経て田端駅に至る20.6kmの区間」
を指す。これが正式な山手線の路線であり、残りの区間は東海道本線および東北本線の一部を利用して運転されている。
つまり、山手線という名称は、実際の路線名と一致していない。品川~田端間の区間が山手線であり、それ以外は他路線の上に成り立っている運転系統にすぎない。山手線は、東京を一周するために敷設された路線ではなく、
「既存路線のつなぎ合わせ」
によって形作られた鉄道網である。