なぜ日本人は「ロボット」に優しいのか? 早稲田×海外共同研究が示す驚きの事実! 自動運転社会で世界をリードするのは日本かもしれない
ロボットやAIに対する日本人の独特な敬意が、自動運転技術の普及に新たな可能性を示す。日米600人の実験で判明した日本人の非利己的行動は、誠実さを重視する文化的背景に由来。こうした感性は、東京が世界に先駆けて自動運転タクシーを普及させる土台となり得る。
欧米と日本の倫理観差異

日本と米国でそれぞれ600人が参加した実験が行われた。参加者は行動経済学の古典的なゲームに挑んだ。行動経済学とは、経済学と心理学を融合させた学問分野である。従来の経済学が「人は合理的に意思決定する」と仮定するのに対し、行動経済学は人間の
・非合理的な判断や感情
・心理的バイアス
が経済行動にどのように影響するかを研究する。
ゲームは「信頼ゲーム」や「囚人のジレンマ」などだ。参加者は相手を出し抜いて利己的に得を狙うか、協力して利益を分け合うか選択を迫られた。相手が人間の場合とAIの場合の2パターンで実施された。
分析の結果、相手がAIだった場合、米国の参加者は利己的に振る舞う可能性が大幅に高まることが判明した。一方、日本の参加者は、相手が人間でもAIでも行動に差が見られなかった。この結果は、AIに対して利己的に振る舞う行為が普遍的でないことを示している。
欧米では、道具や機械は使い倒すものというマインドセットが一般的だ。しかし日本人にはその考え方が薄いらしい。
研究チームは、この差異を罪悪感の有無に求めている。西洋では人間を搾取した際に後悔を感じるが、機械を搾取することには罪悪感を抱かない。日本では、人間を搾取した場合も、善意のロボットを搾取した場合も同様に罪悪感を抱くという。日本以外にも、こうした感性を持つ国民がいるのかは今後の課題だ。