なぜ日本人は「ロボット」に優しいのか? 早稲田×海外共同研究が示す驚きの事実! 自動運転社会で世界をリードするのは日本かもしれない
ロボットやAIに対する日本人の独特な敬意が、自動運転技術の普及に新たな可能性を示す。日米600人の実験で判明した日本人の非利己的行動は、誠実さを重視する文化的背景に由来。こうした感性は、東京が世界に先駆けて自動運転タクシーを普及させる土台となり得る。
AI時代の道路共存ルール

AIやロボットは、着実に社会に浸透しつつある。その進展のなかで、自動運転技術の普及はひとつの重要な転換点となる。
人間が運転する車と自動運転車が混在する交通環境を想像してみたい。走行中、前方の路地から車が出てこようとする場面がある。ドライバーに余裕があれば、速度を落とし、先に行かせることも多い。だが、それが自動運転車だった場合はどうか。そのまま無視して通過するのではないか。
「自動運転技術が現実のものとなるにつれ、こうした日常的な出会いが、私たちがインテリジェントマシンと道路を共有する方法を決定するでしょう」
と語るのは、LMUの心の哲学教授、ユルギス・カルパス氏だ。彼は大学のプレスリリースで、完全自動運転車の登場が、人とAI・ロボットとの接触機会を劇的に増やすと指摘する。現実の交通環境では、ドライバー同士が視線や動きで意思を伝える場面が多い。今後は、同様のやりとりが自動運転車との間でも必要になっていく。
LMUと早稲田大学による研究によれば、人は協力が求められる状況において、人間相手よりもロボット相手のほうが利己的に振る舞いやすいという。
「結局のところ、交通でロボットを邪魔してもロボットの感情は傷つかないのです」
とカルパス氏はいう。ロボットには感情がないという認識が、人々に自己中心的な行動を許容する心理的土台を作っているというわけだ。