福岡市「地下鉄大混雑」が深刻! 増便しても混雑率128%の理由とは? 人口爆増の都市、行政の見誤りが招く交通崩壊の足音
地上と地下で見える別の現実
福岡市が「住みやすい都市」として高い評価を得てきた理由のひとつに、優れた交通利便性がある。空港から中心市街地までの距離が極めて近く、福岡空港から都心までのアクセス時間はわずか8分。ロンドンの45分、東京の29分を大きく下回る。
市内にはバス路線が張り巡らされており、バス停は968か所に上る。1日のバス利用者数は40万人を超える。地下鉄も3路線が市内を貫き、輸送人員は1日あたり45万人以上に達している。
このような公共交通網の充実により、都市構造はコンパクトに保たれ、通勤時間は全国平均の41分を下回る36分に収まっている。世界規模で見てもその利便性は高く、アジア13都市中1位、世界48都市中では5位という順位を記録している。市はこの実績を根拠に「実は世界レベル 福岡の交通利便性」と自称している。
だが、混雑状況はどうか。国土交通省が公表する「最混雑区間における混雑率」を見れば、別の側面が見えてくる。2019年度のデータでは、以下のとおりだ。
●福岡市営地下鉄
・空港・箱崎線(大濠公園→赤坂、8~9時):145%
・七隈線(桜坂→薬院大通、8~9時):127%
●西日本鉄道
・天神大牟田線(平尾→薬院、8~9時):144%
・貝塚線(名島→貝塚、7時30分~8時30分):158%
2023年度の混雑率はこうなっている。
●福岡市営地下鉄
・空港・箱崎線(大濠公園→赤坂、8時~8時59分):132%
・七隈線(桜坂→薬院大通、8時~8時59分):130%
●西日本鉄道
・天神大牟田線(平尾→薬院、8~9時):137%
・貝塚線(名島→貝塚、7時30分~8時30分):158%
空港線では19往復の増便効果により混雑率が一定程度改善された。一方で七隈線は混雑率が上昇し、貝塚線に至っては4年間まったく改善が見られない。
この状況は、都市全体としての輸送能力が慢性的にひっ迫していることを示している。冒頭で触れたとおり、確かに一部路線では増便によって混雑緩和に成功しているが、それは例外に過ぎない。都市の拡大に交通インフラが追いつかないという構造的な問題が、福岡市の足元で進行している。