神戸ブランド失墜? 150億円「LRT」投資の賭け──大阪・京都に完敗する訪日客争奪戦を覆せるか

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神戸市が再整備を進める中央区のウォーターフロント将来構想にLRTが盛り込まれた。沈滞ムードが続く神戸復活にLRTは期待できるのか。

市営地下鉄海岸線への影響

中突堤・新港エリアに停泊する遊覧船(画像:高田泰)
中突堤・新港エリアに停泊する遊覧船(画像:高田泰)

 LRT予想ルートの北側を走る「市営地下鉄海岸線への影響」も心配だ。海岸線のみなと元町駅(中央区)から中突堤・新港エリアを東西に走る浜手バイパスまでは、直線距離で約200m。海岸線が開業以来の赤字続きで、2023年度末で約854億円の累積欠損を出しているだけに、海岸線の乗客がLRTに流れて経営再建が遅れることを心配する声もある。

 その一方で、富山市や宇都宮市・芳賀町では、LRT自体が観光の目玉になった。メリケンパークの飲食店従業員は

「神戸港が観光客を集められないのは交通の便が悪いから。日本でLRT はまだ珍しい。LRTが三宮から神戸港を結べば集客力を発揮できる」

と期待する。

 神戸市は1995(平成7)年の阪神淡路大震災で大打撃を受けた。復興を急ぐあまり、観光地の整備に手が回らず、インバウンドブームに乗り遅れた。異国情緒を前面に打ち出した観光客誘致も、国際化が進む中で時代に合わなくなりつつある。

 人口減少で沈滞ムードが漂うなか、かつての神戸ブランドを復活させ、観光都市として再興するには、これが最後のチャンスかもしれない。ウォーターフロント再整備とLRTの行方は、神戸市の未来に大きな意味を持ちそうだ。

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