「ごみ出しに1万5000円」 町内会の退会者に命じられた利用料! 福井地裁の判決が突きつけた“地域崩壊”の危機とは

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「年1万5000円でごみ出しOK」――福井地裁の判決が、町内会非加入者とインフラ利用の新たな関係を可視化した。見えざる地域コストに市場価格がついた今、都市生活の“サブスク化”が現実味を帯び始めている。

モノ言うインフラ使用料

ごみステーション(画像:写真AC)
ごみステーション(画像:写真AC)

 人とモノが都市の中でどう動くか。それを支えるのは、交通機関だけではない。日々の暮らしを滑らかにする地域の装置すべてがモビリティの一部だ。ごみステーションもまた、人々の生活動線上に配置された一種の社会インフラである。

 では、そのインフラにアクセスする権利を持つには、どうすればいいのか?

 従来は、地域に溶け込み、貢献することで、暗黙の使用権を得てきた。だが人口減少と都市の個人化が進むなかで、そのやり方に限界が見えてきた。新たなアクセス手段として支払いが登場したことで、モビリティと地域インフラの関係性に市場原理が介入し始めたのだ。

 今回の判決を契機に、他の町でもインフラの利用料を巡る議論が活性化する可能性は高い。特にマンションや新興住宅地では、自治会との距離感があいまいな住民も多い。公園の清掃、防犯カメラの設置、災害時の連携体制といった地域インフラの負担を誰が担うかを巡る摩擦は今後さらに表面化するだろう。

 ひとたび価格がついたサービスには、比較と分断が生まれる。払った人と払わない人、利用する人としない人。それはインフラそのもののあり方を根底から変えていく。

 一方で、透明な価格設定によって町内会という組織に説明責任と対価性が芽生え、新たな信頼の構築にもつながる可能性がある。ボランティア精神だけでは持たない時代に入りつつある中で、地域活動を持続可能なサービスへと転換する契機になるのではないか。

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