「ランクル」盗難、異常事態! 全被害の「4台に1台」、もはや“通貨”代わり? 実態調査から読み解く、盗難集中の構造要因とは

キーワード :
, ,
盗難車の“通貨”化が進む中、2024年に盗難台数の27.5%を占めたトヨタ・ランドクルーザーが象徴するのは、モビリティが単なる移動手段から高流動性資産へと変貌した現実だ。背景には新興国の需要爆発、部品価値の上昇、そして闇経済による“グローバル裏物流”の構築がある。

“通貨”としてのランドクルーザー

第26回「自動車盗難事故実態調査結果」(画像:日本損害保険協会)
第26回「自動車盗難事故実態調査結果」(画像:日本損害保険協会)

 ランドクルーザーは単なる高級車ではない。それは、国境を越えた価値交換の“通貨”であり、動く資産でもある。

 北米や中東、アフリカ諸国において、頑健な車体と悪路走破性を備えるこのモデルは、軍用・建設・治安維持など多目的に利用されており、インフラ整備が未成熟な地域では事実上のインフラとすらいえる存在だ。

 とくに新興国では、新車の納期が1年以上かかるケースも珍しくなく、正規ルートでの調達が困難な地域ほど中古車への依存度が高まる。その結果、日本国内で数年落ちのランドクルーザーが、中古であるにもかかわらず新車価格を上回る価値で取引される現象も発生している。

 現地通貨との為替差や関税構造も加わり、実質的にランドクルーザーは「ドル建て資産」に近い流通性を持つ。

全てのコメントを見る