鴻海、日本の自動車産業を「破壊」する? 国内メーカーとの協業、脱・自前主義! EV産業の変革? 自動車メーカーの存在意義を問う関潤氏の野望とは
鴻海精密工業は、2025年4月9日に発表したEV戦略で、日本市場に乗用車やバスを2027年までに投入する計画を明らかにした。新たな製造体制では、垂直統合型から水平分業への転換を進め、EV業界の構造変革を目指す。その背景には、ソフトウエア主導の新しいビジネスモデルが見据えられており、業界全体に波及する影響が期待されている。
東アジアから再編されるEV地図

EV市場の覇権争いは、地政学的な要素も絡み合い、激しさを増している。販売台数や電池性能、価格競争力のすべてにおいて、中国勢が先行している。
なかでもBYDは急成長を遂げ、世界最大のEVメーカーに躍り出た。吉利(ジーリー)や小鵬汽車(シャオペン)もこれに続き、欧州市場を見据えた展開を強化している。一方で、日本の自動車メーカーは明らかに後れを取っている。
鴻海による日本メーカーとの協業模索は、単なる日台の技術連合にとどまらない。自動車メーカーが製造工程の一部を手放し、ソフトウエア主導の外部パートナーと連携する――いわば
「脱・自前主義」
の象徴といえる。また、中国勢とは異なる開かれたプラットフォーム戦略での対抗という側面も持つ。
さらに鴻海の動きは、東南アジアやその他の新興国市場におけるローカルメーカーのEV開発支援にもつながる可能性がある。東アジアは、EV部品や半導体、電池、車載ソフトを生み出すサプライチェーンの中核をなす地域だ。鴻海は台湾をハブとし、これらをつなぐ橋渡し役を担いつつある。