「女尊男卑って本気で言ってる?」 女性専用車両は優遇?差別? 吉原さんNewsPicks発言が問う公共交通の本質! 男女対立を超え、冷静な議論が求められるワケ
女性専用車両は「対策」

さて、今回の件だ。
まず押さえておくべきは、女性専用車両が設けられた背景である。日本の女性専用車両は、1912(明治45)年に東京府の中央線で始まった「婦人専用電車」が最初だ。この目的は痴漢などの犯罪を防ぐことで、特に女学生の安全を守るために導入されたといわれている(佐藤美知男『鉄道物語 はじめて鉄道に乗ったあの日』)。実に
「113年前」
から同じようなことが起きていたのだ。戦後、通勤ラッシュの混雑を解消するために、1947(昭和22)年に「婦人子供専用車」が登場したが、1950年代に廃止された。それでも、女性専用車両はその後も一部で運行されていた。2000年代に入ると、痴漢行為が
「社会問題」
となり、2000(平成12)年に京王電鉄で女性専用車両が試験的に導入された。2001年には本格的に導入が進み、国土交通省の推進により、2005年頃から各鉄道会社が導入を広げていった。
ということで設置の最大の理由は、痴漢被害の深刻さにある。どう見ても「女尊男卑」とは無関係だ。電車内で発生する痴漢の被害者の大半は女性であり、特に満員電車の時間帯に集中している。
鉄道各社にとっても、痴漢対策は避けて通れない課題だ。痴漢事件が発生すると被害者からの対応要請があり、駅員の業務負担が増すだけでなく、企業イメージの悪化にもつながる。女性専用車両は、こうしたリスクを低減する安全対策であり、鉄道会社にとっても合理的な施策なのだ。つまり、女性専用車両は女性を特別扱いするための優遇措置ではなく、
「被害を減らすための実利的な対策」
に過ぎない。これを女尊男卑と捉えるのは、制度の目的を履き違えているといわざるを得ない。「男性が乗れないのだから差別では」という声もあるが、日本の女性専用車両は法律で乗車を禁止しているわけではなく、あくまで
「お願いベース」
で運用されている。乗車しても罰則はなく、強制力がある制度ではない。
そもそも、異なる待遇が即差別であるとする考え方自体が誤りだ。例えば、障がい者用トイレや高齢者向けの優先席は、特定の人々がより快適に社会を利用できるようにする配慮であり、健常者差別や若者差別ではない。女性専用車両も同様に、痴漢被害という具体的な問題に対応したものであり、男性排除のための施策ではないのだ。