EV時代における日本車再興のカギ――バッテリーとソフトウェア【連載】Make Japanese Cars Great Again(3)

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EV市場の波に乗り遅れた日本の自動車メーカー。しかし、2030年には車両コストの約50%を占めるとされるソフトウエアや、バッテリーの覇権争いが今後の競争を左右する。トヨタとホンダの戦略、全個体電池の可能性、車載OSの行方――EV時代の勝者となる条件とは何か。技術力はあるが販売で遅れた日本勢が巻き返す道を探る。

復活のカギとなるバッテリー・ソフトウエア

欧州のEV(画像:写真AC)
欧州のEV(画像:写真AC)

 EVは

・車両技術
・バッテリー/モーター技術
・ハードウエア/ソフトウエア技術

の融合であり、従来の車づくりとは異なる複雑な要素が絡み合っている。

 EVのバッテリーといえばリチウムイオン電池が代表的だが、その原料であるリチウムの精錬ベースでの世界シェアの約65%を中国が占め、主要部材に関しても中国のシェアは80%を超えているとの報道もある。

 EVの心臓部ともいえるバッテリーを中国が握っている現状では、性能面だけでなく、経済安全保障の観点からも今後の競争において勝ち目は薄いといえる。そこで、全個体電池への期待が高まるのも頷ける。

 また、EVはソフトウエアが重要な役割を果たす製品である。2030年には、1台あたりの車両のソフトウエアコストが約50%を占めると予測されている。車載OSを基盤に、

・ECU(電子制御部品の制御)
・機器類の操作
・OTA(通信によるソフトウエアの更新)
・センサー類
・運転支援や自動運転
・IVI(情報エンターテイメント)

など、すべてソフトウエアによって動作している。現状では、テスラがTesla OS、BYDがBYD OS、メルセデスがMB.OSなど、メーカーごとに車載OSが異なっている。安全性の確保や販売後の課金ビジネスの観点から、多くのメーカーが車載OSを自社開発する傾向にあるが、これによりガラパゴス化するリスクがあり、スケールメリットが活かせない状況だ。

 最近では、自社開発の車載OSにIVI領域でAndroid OSを実装する流れができつつある。現在は自動車メーカーごとに車載OSが乱立しているが、パソコンやスマートフォンの例を見ても、将来的にはいくつかのグループに集約されるだろう。半導体やチップセットまで考慮したうえで、車載OSを含むソフトウェアをどこまで内製するのか、どの部分を他メーカーやサプライヤーと連携するのか、あるいはどの規格を採用するのかといった戦略がカギを握る。

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