伊賀鉄道、ついに限界!? 15年間で利用客「45%減」 運賃値上げも、自治体が毎年1億円補填の現実…「忍者の街」に迫る鉄道崩壊の危機とは
普通旅客運賃8.2%の値上げ

三重県伊賀市の伊賀鉄道が運賃値上げに踏み切った。慢性的な赤字の経営状況を打開するためだが、地域の人口減少と高齢化が止まらず、先行きに明るさは見えない。
街中の民家やビルの間を縫うように線路が走る。やがてやってきた2両編成の列車は、平日の日中だからか、車内が閑散としている。城下町の風情を残す路地や旧大和街道に挟まれた三重県伊賀市上野玄蕃町の伊賀鉄道広小路駅。電車はふたりの乗客を乗せるとゆっくりと動き出した。
伊賀鉄道は近鉄が75%、伊賀市が25%出資している。運行する路線は伊賀線16.6km。伊賀市北部に位置するJR関西本線の伊賀上野駅と南部にある近鉄大阪線の伊賀神戸駅を結び、伊賀市内を南北に貫く。電化はされているが、全線が単線。途中、伊賀上野城の城下町・伊賀市中心部を走る。
伊賀市内に15駅があり、2両編成のワンマン列車が30分間隔で運行するが、2月から運賃を値上げした。利用者の減少で鉄道事業の存続が危ぶまれる状態に陥ったためで、消費増税以外での値上げは2007(平成19)年の会社設立以来初めてだ。
値上げ幅は普通旅客運賃が8.2%、定期旅客運賃が通学7.0%、通勤15.0%。最も利用者が多い上野市~伊賀神戸間で普通運賃が30円増の400円、1か月通学定期が460円増の7070円、1か月通勤定期が2050円増の1万5700円に改定された。
ただ、伊賀市中心部にある高校2校の生徒のうち、約7割が通学に利用していることを考慮し、新たに割安の12か月通学定期を新設した。上野市~伊賀神戸間で運賃改定前の6か月定期を2回購入するのに比べ、130円安い7万1270円にしている。
運賃改定後の利用状況について、伊賀鉄道は
「定期の更新時期や観光シーズンでないため、今のところ大きな変化を感じられない。値上げの影響が分かるのは新年度以降になるのでないか」
とみている。