伊賀鉄道、ついに限界!? 15年間で利用客「45%減」 運賃値上げも、自治体が毎年1億円補填の現実…「忍者の街」に迫る鉄道崩壊の危機とは

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三重県伊賀市の伊賀鉄道が運賃を値上げした。慢性的な赤字経営を打開するための措置だが、地域の人口減少と高齢化が続き、先行きは依然として厳しい。

車社会の進行で市中心部が空洞化

JR関西本線との乗換駅になる伊賀上野駅(画像:高田泰)
JR関西本線との乗換駅になる伊賀上野駅(画像:高田泰)

 しかし、大人ひとりに車1台が当たり前の時代になると、郊外に住宅地や商業施設が整備される一方、市中心部で空き家や空き地が増える。商店街は人通りが減り、シャッター街に。伊賀市に前身のひとつを持つ中京銀行の支店や市内唯一の映画館が営業を終えた。

 伊賀市や伊賀鉄道はイオンタウン伊賀上野駅近くの四十九町に住民の要望で新駅を設置したほか、交通系ICカードの導入や通学定期券購入への補助などを進めているが、大きな効果は出ていない。伊賀忍者を柱にした観光も2006年に年間300万人を超えた入込客数が150万人を下回って苦戦している。

 名阪国道沿いに点在する製造業と農業が基幹産業だが、街の活気が次第に失われているのは事実。伊賀鉄道の利用者を増やすとしても、街に活気が戻らなければ実現は難しい。かといって、人口減少下で地方の活性化が成功した事例はわずかだ。持続的経営は可能なのか、伊賀鉄道を取り巻く状況は頭の痛い局面が続いている。

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