広島と愛媛の「この場所」に、なぜ橋を作らないのか? Part2

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広島市と松山市を結ぶ架橋計画「Qルート」は、瀬戸内海を横断する新たな大規模インフラとして、地域経済を活性化させる可能性を秘めていた。1990年代に提案され、300万人の沿線人口を見込んだこの構想は、交通の利便性を飛躍的に向上させることを目的としていたが、現在その実現は遠のいている。

広島と松山を結ぶ新ルートの可能性

広島市と松山市の架橋イメージ箇所(画像:国土地理院)
広島市と松山市の架橋イメージ箇所(画像:国土地理院)

 筆者(碓井益男、地方専門ライター)は、これまで当媒体において「佐渡島と新潟の「この場所」に、なぜ橋を作らないのか?」といったような、架橋に関する記事を何本も執筆してきた。今回は、広島市(広島県)と松山市(愛媛県)間の架橋について焦点を当てる。

 現在、瀬戸内海を隔てた本州と四国は、三つのルートで接続されている。東から順に、

1.神戸・鳴門ルート(明石海峡大橋・大鳴門橋)
2.児島・坂出ルート(瀬戸大橋)
3.尾道・今治ルート(しまなみ海道)

である。この国家プロジェクトは、1999(平成11)年3月にしまなみ海道が全面開通したことで完結し、かつては船でしか行き来できなかった本州と四国が自動車、バス、鉄道でも行き来できるようになった。

 しかし、再度地図を見てみると、広島県と愛媛県の間の状況に気になる点がある。しまなみ海道で結ばれているのは尾道市と今治市であり、広島市と松山市の距離はかなり離れている。そのため、両市間を移動するには大きな迂回が必要となり、現在はフェリーのみが直接結ぶ手段となっている。その所要時間は2時間40分に及ぶ。

 広島市と松山市間の海域には多くの島々が点在している。これらの島々を活用し、両市を橋で結ぶことができれば、交通の利便性が飛躍的に向上するだろう。

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