「1日も早く開通を」 北陸新幹線“大阪延伸”を半世紀以上待ち続けた小浜市! 若狭を覆う焦燥感、「原発なしでは発展なかった」と地元民ホンネ

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北陸新幹線小浜・京都ルートの着工時期が未定の中、経由地となる福井県小浜市や若狭地方の人口減少は止まらない。全線開通まで最長26年とされるなか、この地域の維持が可能かが問われている。

若狭地方の人口減少と未来の危機

小浜駅に到着した小浜線の列車(画像:高田泰)
小浜駅に到着した小浜線の列車(画像:高田泰)

 苦しい状況なのは小浜市だけでない。鉄道建設・運輸施設整備支援機構は小浜・京都ルートの工期を最長26年と試算している。若狭地方5市町の人口は1980(昭和55)年に約8万6000人を数えたが、2025年2月現在で約6万6000人に減少した。2045年には約4万8000人に落ち込むとする国立社会保障・人口問題研究所の推計もある。

 若狭地方の産業は若狭湾の漁業など農林水産業の比重が高いが、従事者の高齢化に悩まされている。小浜・京都ルートで新幹線が開通しても、30年近い時間が経過したあとでは地域を活性化するだけの体力が残っていない可能性がある。

 若狭地方は美浜、おおい、高浜の3町に関西電力の原子力発電所が立地している。原発は1970年、美浜町の美浜原発が運転を始めたあと、相次いで整備され、関西に電力を供給してきた。北陸新幹線の整備計画昇格で経由地点に「小浜市付近」の文言が入ったのは、ちょうどそのころの1973年だ。

 住民の間には国に尽くしてきた若狭地方の思いを新幹線開業という形で報いてほしいとの思いがある。敦賀駅発の小浜線に乗り合わせた高浜町の70代男性は

「若狭が原発を受け入れなければ、関西経済の発展はなかった」

と指摘した。

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