「1日も早く開通を」 北陸新幹線“大阪延伸”を半世紀以上待ち続けた小浜市! 若狭を覆う焦燥感、「原発なしでは発展なかった」と地元民ホンネ
北陸新幹線小浜・京都ルートの着工時期が未定の中、経由地となる福井県小浜市や若狭地方の人口減少は止まらない。全線開通まで最長26年とされるなか、この地域の維持が可能かが問われている。
先行開業にも乗り越えなければならない壁

福井県の杉本達治知事は1月の記者会見で「私個人の初夢」として小浜先行開業を打ち上げた。建設工事の資材費や人件費が高騰していることを憂慮し、
「小浜市まで先行開業すれば事業費が安く済み、全線開業も早くなるのでないか」
と提案する。この考えはその後、北陸新幹線与党整備委員会の西田昌司委員長らに説明した。
発言の背景には、京都府で反対運動が続くなか、小浜・京都ルートを確定するとともに、石川県で勢いを増す米原ルートへの見直し論を牽制する狙いが見え隠れする。小浜市新幹線・交通まちづくり課は
「1日も早く開通してほしいのが小浜市の思い。知事の提案は非常にありがたい」
と賛同している。
小浜・京都ルートのうち、敦賀~小浜間に対して大きな異論は出ておらず、スムーズな整備が見込まれる。しかし、先行開業にはいずれ不要となる折り返し設備や余分な人員が必要になる。そのコストを考えなければならない。
若狭地方は小浜市と美浜町、若狭町、おおい町、高浜町の5市町で構成されるが、小浜市以外は人口1万人前後の小規模地方自治体ばかり。しかも、JR小浜線は特急が走らない。先行開業しても関西や中京方面との乗り換えは敦賀駅になる。小浜延伸で乗降客が急増し、乗客の利便性が大きく高まるとも考えにくい。