「地元として要望しているわけではない」 北陸新幹線延伸計画、京都市・松井市長が危惧! 説明会開催で府民の不安は解消されるのか、それとも着工へのアリバイ作りか?
地元負担の行方

北陸新幹線の京都延伸で国が京都府で説明会を開く方向となった。京都府市が延伸ルートに懸念を示し、計画が遅れているためだが、府民の理解を得るのは難しそうだ。
「科学的知見に基づく情報を知っていただくことが重要。協力をお願いしたい」
2025年2月10日、京都府庁で北陸新幹線与党整備委員会と京都府の西脇隆俊知事、京都市の松井孝治市長が面談した。整備委員会の西田昌司委員長は、国が京都府内で説明会を開催するにあたり、協力を求めた。
竹内譲整備委員会委員長代理や国土交通省鉄道局、鉄道・運輸機構の幹部が同席するなか、西脇知事、松井市長は協力に同意した。説明は建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が当たる形で、国交省と京都府市で日程などを調整する。
しかし、面談の席上、西脇知事は地元負担の軽減を要請、松井市長は
「北陸新幹線を地元として要望しているわけでない。市民の体感的な納得を得る必要がある」
とあらためて懸念を伝えた。
京都での説明会開催で合意

整備委員会が推進するのは、敦賀駅(福井県敦賀市)から福井県小浜市へ向かったあと、京都府内を南下し、新大阪駅(大阪市淀川区)へ至る小浜・京都ルート。京都府北部を山岳トンネル、京都市内の大半を地下40m超の大深度地下トンネルで通す予定だ。
だが、石川県では、敦賀駅から米原駅(滋賀県米原市)へつなぐ米原ルートの再考を求める声が高まっている。小浜・京都ルートを支持してきた馳浩石川県知事も、2月初旬の県政懇談会で次の選択肢に言及するなど発言内容に微妙な変化がうかがえた。
与党整備委員会は2024年中に京都市内に設ける駅の位置など詳細ルートを決定し、2025年度中の着工を目指していた。しかし、2024年末のヒアリングで西脇知事と松井市長が環境への影響や膨大な額とみられる地元負担などに懸念を示したため、京都市内の駅設置候補を2案に絞るだけで最終決定を先送りし、2025年度中の着工を断念した。
懸念解消の手段として打ち出されたのが、地元説明会の開催だ。しかし、整備委員会と西脇知事、松井市長の面談中、府庁前では計画を疑問視する市民団体が
「もうやめときなはれ西田はん!」
と書かれた横断幕を掲げ、反対運動を行った。与党整備委員会は説明会で西脇知事や松井市長の納得を得たい考えだが、前途多難が予想される。