なぜインバウンドは「定番スポット」に集中するのか? 今すぐ必要な観光地の分散化、関空より徳島空港が重要? オーバーツーリズム解消に欠かせない移動改革とは

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日本各地でオーバーツーリズムが深刻化するなか、観光地の負担を分散させるためには「どうやって行くか」がカギとなる。移動手段の見直しと新たな観光ルートの開発が、日本の観光業界の未来を左右する。鉄道、バス、タクシーを連携させ、観光と移動を一体化させる取り組みが、持続可能な観光を実現する可能性を秘めている。

移動を体験価値に変える戦略

観光地のイメージ(画像:写真AC)
観光地のイメージ(画像:写真AC)

 人の移動は習慣として形成される。これを変えるには、新たな移動の仕組みを設計する必要がある。観光地への導線を見直し、移動自体を観光資源とし、地域交通の連携を強化することで、新たな観光需要を創出できる。

 インバウンドの多くは、新幹線や空港からのアクセスのよさで目的地を決める。そこで、あえて

「異なる玄関口を提示する手法」

が考えられる。主要空港ではなく地方空港やフェリーを活用し、

・新千歳空港ではなく稚内空港
・関西国際空港ではなく徳島空港

を利用することで、自然と別ルートの観光が形成される可能性がある。新幹線の終点ではなく

「中間駅」

を目的地とするのも一案だ。東海道新幹線なら名古屋、東北新幹線なら盛岡で下車するよう推奨すれば、インバウンドの流れを分散できる。

 移動そのものを観光資源とする視点も重要だ。欧州では長距離列車やクルーズ船を活用した観光が定着しているが、日本ではまだ十分に活用されていない。例えば、ローカル線を目的地として打ち出すことで、新たな観光の形を作れる。北陸地方では、えちごトキめき鉄道やのと鉄道といった第三セクター路線を活用し、車窓の景色を楽しむ旅を企画できる。都市間をつなぐフェリーや観光バスの活用も有効だ。移動自体を特別な体験とすることで、インバウンドのルート選択肢が広がり、新たな観光地へと足を運ぶ流れが生まれる。

 地方の観光地では、鉄道駅や空港からの移動手段が不足しているケースが多い。この課題を解決するには、MaaS(Mobility as a Service)の活用が不可欠だ。事前予約制の乗合タクシーやインバウンド向けのシェアサイクルの導入に加え、

「鉄道・バス・タクシーの一体的なデジタルチケット販売」

を行うことで、利便性を向上させられる。単なる移動手段の提供ではなく、観光とセットで設計することがカギとなる。例えば、「古民家カフェ巡りタクシー」や「温泉地ランダムルートバス」など、移動と観光を一体化させることで、新たな観光価値を生み出すことが可能となる。

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