なぜインバウンドは「定番スポット」に集中するのか? 今すぐ必要な観光地の分散化、関空より徳島空港が重要? オーバーツーリズム解消に欠かせない移動改革とは
日本各地でオーバーツーリズムが深刻化するなか、観光地の負担を分散させるためには「どうやって行くか」がカギとなる。移動手段の見直しと新たな観光ルートの開発が、日本の観光業界の未来を左右する。鉄道、バス、タクシーを連携させ、観光と移動を一体化させる取り組みが、持続可能な観光を実現する可能性を秘めている。
新たな観光価値の創出

インバウンドが新しい目的地を選ぶ際には、「発見の楽しさ」が重要な要素となる。そのためには、情報発信の方法を見直すことが必要だ。
従来の観光PRは、「ガイドブックやSNSで有名観光地を紹介する」という形が一般的だった。しかし、これではインバウンドの流れを変えることはできない。そこで、航空会社や鉄道会社と連携し、予約時に「隠れた観光地」を提案する仕組みを作ることが効果的だ。例えば、航空券予約サイトで「このルートならこのエリアも楽しめる」といったレコメンド表示を行うことで、観光地を柔軟に選びやすくする。
さらに、ホテル予約サイトで「この宿なら近くにこうした観光スポットがある」といった形で、宿泊と観光をセットで提案することも一つの方法だ。
観光地の人気は「有名だから行く」という心理が大きいが、そこに「新たな価値」を提示することで、インバウンドの行動を変えることができる。例えば、文化的な背景を掘り下げたり、地域ならではの体験を強調することで、新しい魅力を伝えることができる。東北の山間部の温泉地を「温泉と伝統工芸の融合体験」として売り出す、瀬戸内の離島を「日本の現代アート巡り」としてパッケージ化するなど、観光の文脈を変える工夫が求められている。