「城しか見るところがない」 なぜ名古屋市はインバウンド誘致の“負け組”になってしまったのか? 宿泊客数、東京のわずか「20分の1」という現実

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訪日外国人観光客が急増し、観光公害が各地で問題になっている中で、名古屋市はその波に乗り遅れている。三大都市圏に数えられる大都市でありながら、なぜ名古屋は観光地として注目を集めることができないのだろうか。

素通りされる理由

JR名古屋駅に到着した東海道新幹線(画像:高田泰)
JR名古屋駅に到着した東海道新幹線(画像:高田泰)

 訪日外国人観光客の殺到で観光公害が各地で問題になるなか、名古屋市が蚊帳(かや)の外に置かれている。三大都市圏に数えられる大都市なのに、なぜ“負け組”になってしまったのだろう――。「名古屋はどこにでもある都会で、城以外に見るところがない。がっかりだよ」1月末、名古屋市を代表する繁華街・栄地区(中区)で出会ったシンガポールの家族連れ。父親が近くの中部電力未来タワーへ向かう途中、名古屋観光にがっかりした表情を見せる。

 この家族は3回目の来日。最初はコロナ禍前の2019年、京都市、大阪市など関西を旅した。2度目は2023年、東京都から岐阜県の飛騨高山などを回っている。今回は再度、関西を中心に観光しながら、名古屋市に足を延ばした。このあと、気を取り直して三重県や奈良県に向かうそうだ。

 2024年の訪日客は、日本政府観光局の推計で約3687万人に達し、過去最高を記録した。コロナ後の反動と円安の影響で日本に注目が集まったからだ。しかし、大阪市に本社を置く大手旅行代理店は

「初来日の人が増えたこともあり、訪日客の多くが首都圏から富士山、関西を回るゴールデンルートに集中し、名古屋市を素通りしている」

と指摘する。

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