日産・ホンダの統合はなぜ破綻したのか? ゴーン氏が的中させた「買収劇」の結末! 「日産・鴻海・シャープ連合」誕生の可能性はあるのか?
日産とホンダの経営統合協議が、開始からわずか2か月足らずで決裂の方向に向かっている。ホンダによる子会社化の提案を日産が拒否し、交渉は事実上の終焉を迎えた。元日産会長カルロス・ゴーン氏は以前からこの展開を予測しており、その見立ては的中した。統合破談により、日産は台湾・鴻海との提携交渉を再開する可能性も浮上。EV市場の競争激化のなかで、今後の戦略が問われる局面となっている。
主導権なき経営統合、交渉決裂の必然

ゴーン氏は、米国の自動車専門メディア「オートモーティブニュース」のインタビュー(2024年8月6日配信)で、ホンダ、日産、三菱自動車の3社連合について
「偽装買収(disguised takeover)」
という表現を用い、
「ホンダ主導による買収劇」
へと発展するのは避けられないと断言していた。その理由として、3社のなかでホンダが最も主導的な立場にある点を挙げていたが、実際にホンダが日産に対し子会社化を打診したことは、まさにこの予測通りの展開だった。
2023年12月23日に行われた日本外国特派員協会(FCCJ)主催のオンライン会見でも、ゴーン氏はレバノンからリモートで参加し、両社の経営統合に懐疑的な見方を示していた。統合の障壁として、まず事業戦略や強みに補完関係がない点を指摘。
さらに、ホンダは過去に他の自動車メーカーと大規模な経営統合を行ったことがなく、独立性を重視する経営方針を持つことから、意思決定のスピードやシナジー創出が難しくなると分析していた。
また、両社の技術力への強い誇りも統合調整を困難にする要因だった。双方ともに自社技術へのこだわりが強く、技術面での融合が難航することは当初から予想されていた。
さらに、ゴーン氏が統合成功のカギとして挙げていた
「強いリーダーシップの必要性」
についても、ホンダと日産のいずれの経営陣も明確な方向性を示せなかった。むしろ、意思決定プロセスは複雑化し、統合を進める上で大きな障害となったことは否めない。結果として、ゴーン氏の見立て通り交渉は決裂に向かい、その先見性の高さを改めて示す形となった。