タワマンの空き部屋所有者に「課税」検討へ! 神戸市「晴海フラッグにしない」都市開発へ挑戦、規制第2弾は実現するのか?

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神戸市の有識者会議が、タワーマンションの「空き部屋」所有者に課税するよう提言した報告書を久元喜造市長に提出した。市は全国で初めてとなる法定外税の導入を検討している。

有識者会議が市長に課税求める報告書

JR三ノ宮駅近くに建つタワマン(画像:高田泰)
JR三ノ宮駅近くに建つタワマン(画像:高田泰)

 神戸市の有識者会議がタワーマンションの「空き部屋」所有者に課税を提言した報告書を久元喜造市長に提出した。市は全国初となる法定外税創設を検討する。「神戸の都心を晴海フラッグのような街にしたくない。事業者や市民の議論も注視し、検討を進めたい」。久元市長は記者会見で有識者会議がまとめた報告書について、こんな感想を漏らした。

 晴海フラッグは東京都内にある東京五輪・パラリンピックの選手村跡。最終的に商業棟も含めて計24棟、住宅約5600戸が整備される計画で、2024年1月から入居が始まっている。しかし、分譲マンションは投資目的での購入が相次ぎ、2024年6月現在で3割以上が居住実態を確認できなかった。報告書では、タワマンに空き部屋が増えると

・住宅ストックが活用されない
・修繕や解体の合意形成が困難になる恐れがある

として、都心部タワマンの空き部屋所有者に法定外税で負担を求めるべきとしている。タワマンだけを対象とする法定外税は全国で例がない。久元市長は「問題意識を共有してどうするか考えたい」と述べた。

 有識者会議は関西学院大学経済学部の上村敏之教授を座長に弁護士や元官僚、大学教員ら5人で構成する。2024年5月に発足し、タワマンが抱える課題を検討してきた。報告書は空き部屋所有者への課税のほか、タワマンを建設する建築主への課税検討なども盛り込んでいる。

 久元市長に提出した報告書は暫定版で、有識者会議は3月末までに最終報告書をまとめる予定だ。神戸市企画調整局は

「最終報告が出れば、本格的な検討に入る」

と今後のスケジュールを示した。神戸市は2020年、中央区のJR三ノ宮駅南約22.6haで住宅新設、周囲約290haで容積率400%以上の住宅建設を禁止した。タワマンの将来に不安を感じ、都心部で実質的に新設できなくするためだ。法定外税は地方自治体が条例で創設できる。市議会での条例案可決や国の同意が必要だが、実現すればタワマン規制第2弾になる。

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