クール便の危機! 溶けたら一発アウト! 冷凍食品ブームに隠された「品質維持」の苦悩、“置き配”すらできない現実とは
冷凍技術進化、宅配リソース不足

それでもなお、宅配各社は、配達ドライバーの配置を最適化するなど、対策を練ろうとしている。しかし、お歳暮、クリスマスケーキ、ふるさと納税、おせち料理など、クール便需要が高まる年末年始においては十分ではなく、結局のところ、「配達ドライバーの皆さん、どうか頑張ってください」という、
「極めて前時代的な対策」
が中心となってしまうのが、現実だ。このクール便問題について、市井では以下のような意見がある。
・冷凍冷蔵ロッカーを含めた宅配ボックスの設置を法律で義務化してしまえばいい。
・冷凍冷蔵食品の配達こそ、ドローンが適任ではないのか。
・昭和の頃には普通に行われてきた、「配達先の近隣に荷物を預かってもらう」コミュニティ型配送を、今こそ復活させるべきだ。
・そもそも、冷凍冷蔵食品のEC・通販における販売量を、クール便のキャパシティに合わせて制限すべきだ。
それぞれ、一考の余地はあるが、技術的な課題、投資対効果の問題など、実現へのハードルは高い。コミュニティ型配送については、今の若者の中には
「隣近所の荷物を預かる」
という慣習があったことすら知らない人もいる。筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)は、以前某所で若者たちに対し、このコミュニティ型配送について紹介したところ、
「気持ち悪い」
「絶対に嫌だ」
「そもそも隣に誰が住んでいるか知らないし」
などと、“生理的嫌悪感”にも近い反応をされた経験がある。また、宅配リソースが、拡大を続ける冷食マーケットの足かせとなるのは、まず宅配各社が望むことではないだろう。冷食のニーズは、今後も高まっていく。共働き家庭にとって、冷食は家事の手間を省くための有効な手段であり、冷凍冷蔵技術の進化によって、冷食の品質は驚くほど向上している。
先日、筆者は友人たちを招いて自宅で酒宴を開いたのだが、Picardで購入したムール貝のオードブルはとてもおいしく、一同驚いた。今の冷食は、手抜きの一品ではなく、
「生活を豊かにするもの」
なのだ。