クール便の危機! 溶けたら一発アウト! 冷凍食品ブームに隠された「品質維持」の苦悩、“置き配”すらできない現実とは

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冷凍冷蔵食品の需要が増えるなか、個人宅へのクール便配送が増えている。しかし、クール便は原則手渡しが求められ、再配達を減らすための宅配ボックスや置き配が利用できないというジレンマがある。

ドライバー負担を減らしにくい課題

保冷トラック(画像:写真AC)
保冷トラック(画像:写真AC)

 あくまで宅配全般の話ではあるが、現在実施されている配達ドライバーの負担を減らす対策は、大きくふたつある。ひとつは、再配達の削減。もうひとつは、配送リードタイムの確保である。

 再配達の削減については、消費者への啓蒙活動のほか、宅配ロッカーの設置や、置き配の推奨などが行われているが、クール便については、宅配ロッカー・置き配の利用は難しい。というのも、冷凍冷蔵食品は、

「対面手渡しが基本」

だからである。冷凍冷蔵機能を備えた宅配ロッカーも開発されているが、市井(しせい)にはまだごくわずかしか普及していない。置き配については、衛生的な問題はもちろん、融解してしまうため、論外である。

 配送リードタイムの確保についても解説しよう。現在、政府主導でゆっくり配送などと呼ばれる、注文から配達までのリードタイムに余裕を設けるサービスを推進している。

 これは宅配に限ったことではないのだが、輸配送には繁閑の差が生じる。配達荷物がたくさんあり忙しい日もあれば、荷物が少なく比較的余裕を持って配達できる日もある。注文から配達までのリードタイムに余裕をもたせることで、配達における繁閑の差を平準化し、配達ドライバーへの負担を減らすことが狙いである。

 ところが、こと冷凍冷蔵食品に関しては、この配送リードタイムの確保が難しい。前述のとおり、宅配各社の営業所(あるいは物流センター)における冷凍冷蔵食品の保管庫はスペースに限りがあるし、また冷凍冷蔵食品については、配送リードタイムが長くなればなるほど、融解などにともなう品質低下のリスクが高まるからだ。つまり、クール便は、

「配達ドライバーの負担を減らすための対策が実施しにくい」

という構造的課題を抱えている。

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