「さんふらわあ しれとこ」引退 日本海航路の変遷と老朽化進むフェリーが担った物流革命とは?
「パンスター・ハニー」誕生の舞台裏
この1年後(2008年)の4月、パンスターラインはリベラ東日本フェリーの「ほるす」を用船・改装し「パンスター・ハニー」としてデビューさせた。「ほるす」は1994(平成6)年にデビューし、東日本フェリーの青森~室蘭、仙台~苫小牧、青函の各航路で活躍したが、2007年9月に新造高速船「ナッチャンRera」の青函航路就航にともない運航を休止していた。
それをパンスターラインがクルーズフェリー化した。5月から同社の大阪~釜山航路に就航。6月16日にはリベラ東日本の金沢~釜山航路が新設され、パンスター・ハニーはここに就航する。釜山を月曜日の13時にたち、翌火曜日の10時に金沢到着。金沢からは水曜日の15時に出港し、木曜日の12時に釜山に入港する週1便のウイークリーサービスである。なお、東日本フェリーはパンスターラインからタイムチャーターして金沢航路を運航する形式をとった。
筆者は同年7月に金沢→釜山でパンスター・ハニーに乗船した。金沢航路は本格的なクルーズサービスを実施していた。乗船時には韓国人とフィリピン人からなるクルーがつくる花道に迎えられ、ウエルカムドリンクとスィーツをいただき、金沢出港後はウクライナ人女性ミュージシャンのサックス演奏によるミニコンサート。船首に設けられたパラダイスラウンジでは夕方にワインセミナー、夜には車両甲板を大幅に改装したクラブ・マスカレードで「ハニー・ガラ・パーティー」。コンサート、マジックショー、クルーによるダンスや合唱などの出し物にディーラーのいる本格的カジノもオープン。そして翌朝にはヨガ教室…。
この2年前、日本海における週末クルーズ実施も視野に入れた「平成の北前船」がニューれいんぼう姉妹によって行われた。残念ながら、日本海定期クルーズは実現に至らなかったが、ニューれいんぼう姉妹を運航していたリベラ東日本フェリーは韓国フェリーを活用して、それを実現したということもできよう。