「夜行列車」復活のカギは? 資金調達・車両確保・運行体制、誰が・どこで・どう実現するか【連載】夜行列車現実論(3)

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夜行列車の復活は、観光業やビジネス需要を活性化させることが期待されている。しかし、運行資金の調達や車両の確保、競合との差別化など、多くの課題もある。それでも、収益性や効率的な運行体制を整えることで、新たな移動手段としての可能性が広がるだろう。

筆者への反対意見

サンライズ号(画像:写真AC)
サンライズ号(画像:写真AC)

 一方で、夜行列車の再開に対して反対の意見も存在する。筆者の基本的な考え方を述べたが、以下に示すような異なる視点もあるため、両方の意見を紹介する。

●収益性の懸念
 夜行列車は新幹線や格安航空、高速バスといった競合交通手段と競り合うなかで、利益を確保できるか疑問視する声もある。特に、比較的可処分所得が低い若年層を中心に夜行高速バスが定着し、その影響でブルートレインが衰退した過去があるためだ。

 また、利用者数の少ない日や季節による収益のばらつきも問題視されており、特に夜行高速バスの充実ぶりが大きな脅威となり、採算が取れるかどうかの懸念が高まっている。

●実現性に疑問符が付く運行体制
 夜行列車専業の事業者、例えば「JR夜行」のような新たな事業形態には、貨物を組み合わせてコンテナハウス的な夜行列車を運行するというアイデアもある。これにより、資源を有効に活用できる可能性がある。

 しかし、国内の人口減少やオンライン会議の普及を考慮すると、過剰なリスクを負うことになるのではないかという懸念もある。加えて、運行には専門的な技術や設備が求められ、その費用負担をどこが担うかが大きな課題となる。

●需要の不確実性
 夜行列車の需要が再び復活するかどうかは不確かであり、特に若年層やビジネスパーソンを中心に、移動手段としての需要がどこまで高まるかは予測が難しい。鉄道事業者による次世代寝台列車のマーケティングリサーチが水面下で進められているという情報も複数ある。

 具体的には、食事や個室の仕様、車両の数、価格帯などに関する調査が行われていると聞く。しかし、これらの調査はあくまで調査にすぎない。さらに、インバウンド需要の不確実性が高いため、長期的な運行計画の策定には慎重さが求められる。

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