“夜行寝台バス”は本当に成功するのか? 国交省「座席フルフラット化」が直面する3つの深刻課題とは
夜行バス革命が始まる? 国土交通省が解禁した「フルフラット座席」。海外で主流の快適仕様が日本に進出し、長時間移動が劇的に変わる可能性を秘める。安全性やコスト課題を克服し、新たな快適性を手にする未来は、鉄道や航空に迫る高速バスの進化の第一歩だ。
席導入への課題と展望

今回のガイドライン設定と規制緩和の方向性は一歩前進といえる。しかし、フルフラット座席の導入を成功させるためには、段階的な導入、コスト対策と標準化、安全性の持続的モニタリングが重要な要素となる。
段階的な導入については、初期段階で利用者が多い夜行高速バスの路線に限定し、需要の検証と課題の抽出を行うことが求められる。特に、長時間の乗車における快適性や疲労を医学的に評価し、得られたデータをもとに次のステップに進む必要がある。
コスト対策と標準化に関しては、バス事業者と車両メーカーが共同で研究開発を進め、コストを抑える方法を模索する必要がある。また、政府の補助金や助成金の活用もひとつの選択肢だ。ビジネスや観光支援の観点から、フルフラット座席車の導入に対して社会的に行政が支援することも検討されるべきだ。標準化により、コスト低減を目指す策も有効だ。
安全性の持続的モニタリングについては、座席ガイドラインの要件が運用で適切に守られているかを定期的に確認し、問題があれば迅速に対応できる仕組みを構築する必要がある。
フルフラット座席の導入は、利用者の快適性を向上させるとともに、日本の高速バス業界に新たな可能性をもたらすだろう。しかし、安全性やコストの課題を慎重に解決しながら進めることが、持続可能な発展の鍵となる。
最近では、
・宿泊費の高騰
・出張移動の夜行バスへの切り替え希望
が増えているものの、ブルートレインの客車代替を断念し、夜行列車自体の廃止が進んでいる。そうしたなかで、寝台の夜行高速バスには多くの期待が寄せられている。普及に向けて、ぜひ公的な支援が得られることを望む。