“夜行寝台バス”は本当に成功するのか? 国交省「座席フルフラット化」が直面する3つの深刻課題とは
夜行バス革命が始まる? 国土交通省が解禁した「フルフラット座席」。海外で主流の快適仕様が日本に進出し、長時間移動が劇的に変わる可能性を秘める。安全性やコスト課題を克服し、新たな快適性を手にする未来は、鉄道や航空に迫る高速バスの進化の第一歩だ。
筆者への反対意見

一方で、フルフラット座席の導入にはいくつかの課題もある。安全性への懸念、コスト負担の増加、需要の限定性の三つが主な反対意見として挙げられる。
安全性に関しては、ガイドラインが策定されているものの、実際に運用する際の安全性が確保されるかは不透明だ。特に、車両事故や急ブレーキの際に、フルフラット姿勢での衝撃吸収性能や脱出経路の確保に不安が残るとの指摘がある。
コスト負担の増加については、フルフラット座席を装備した車両の開発や導入には高額な費用がかかると予想される。例えば、ドリームスリーパーのような先駆者でも、1台1億円以上の費用がかかっている。新たな車両の企画・開発にはさらに多額の費用が必要であり、このコストが最終的に運賃に反映されることで、価格競争力を失うリスクもある。
需要の限定性に関しては、フルフラット座席は主に夜行バス利用者向けであり、すべての高速バスに必要というわけではない。一部の利用者に特化したサービスとなるため、運賃も高額になる可能性が高い。高速バスはもともと安価な移動手段として利用されているため、高級路線が果たして受け入れられるかが課題となる。