日産9000人削減はまだ甘い? 本場「ドイツ」も大失職時代へ! 35年までに「19万人」雇用喪失という現実、残された希望は何か?

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日産自動車やドイツの自動車産業が直面する大きな変革の波。雇用削減、EVシフト、そして再生可能エネルギーの未来──。自動車業界の不況とともに新たな雇用創出の期待が高まる中、各国の対応が試される時が来ている。特に、ドイツの自動車業界では18万人の雇用喪失が予測され、再生可能エネルギー分野の成長がひとつの解決策となりそうだ。

再エネ関連雇用が急増

論文「Job creation during the global energy transition towards 100% renewable power system by 2050(2050年までに100%再生可能電力システムを目指す世界的なエネルギー転換における雇用創出)」(画像:Technological Forecasting and Social Change)
論文「Job creation during the global energy transition towards 100% renewable power system by 2050(2050年までに100%再生可能電力システムを目指す世界的なエネルギー転換における雇用創出)」(画像:Technological Forecasting and Social Change)

 2015年にパリ協定で設定された目標は米国、欧州連合(EU)、日本などが2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにすることだが、この取り組みの過程でエネルギー部門の環境への悪影響が軽減されることに加え、再生可能発電技術は新たな富を生み出し、21世紀の重要な雇用創出源となるという。

 太陽光発電、バッテリー製造、風力発電は、2015年から2050年までのエネルギー転換期間中に雇用を創出する主要な技術であり、電力部門に関連する世界の直接雇用は、2015年の約2100万人から2050年には3500万人近くに増加することが導き出されたということだ。
 自動車業界の苦境はドイツだけでなく、欧州全体にも広がっている。

 ブリュッセルに拠点を置く欧州自動車部品サプライヤー協会(CLEPA)が2024年10月に発表したリポートによると、2020年以降、欧州の自動車部品業界で約8万6000人の雇用が失われ、コロナ禍以来最悪の雇用喪失に直面していることが明らかになった。さらに、2024年の最初の6か月だけで3万2000人の人員削減が発表されており、リストラの波は当分続くと予想されている。

 ドイツ、欧州、そして先の日産自動車の件など、自動車業界でのリストラが進行するなか、失われた雇用をどこで吸収すればよいのかが重要な課題となっている。期待される雇用創出の筆頭は、やはり再生可能エネルギー関連分野だ。

 フィンランドのラッペーンランタ・ラハティ工科大学の研究チームが2019年に「Technological Forecasting and Social Change」で発表した研究によれば、電力部門(太陽光発電、バッテリー製造、風力発電)における世界の雇用は、2015年の2100万人から2050年には

「3500万人」(67%増)

に増加するとの予測が示されている。2015年のパリ協定で設定された目標に基づき、米国、EU、日本などが2050年までに温室効果ガス排出量をゼロにする取り組みが進むなか、エネルギー部門の環境負荷の軽減が期待されるとともに、再生可能エネルギー技術が新たな富を生み出し、21世紀の重要な雇用創出源となるとされている。

・太陽光発電
・バッテリー製造
・風力発電

は、エネルギー転換の過程で雇用を生み出す主要な技術である。

再エネ分野の雇用、1年で約2割増

IRNAのウェブサイト(画像:IRNA)
IRNAのウェブサイト(画像:IRNA)

 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)が2020年に発表したリポートによると、各国が気候目標を積極的に追求すれば、再生可能エネルギー業界は2050年までに世界で

「4200万以上」

の雇用を生み出す可能性があると予測されている。この増加数は、化石燃料産業の縮小にともない失われる雇用を大きく上回る。

 また、IRENAが2024年10月に発表したリポートでは、2023年に再生可能エネルギー分野の雇用が2022年の1370万人から

「1620万人」(18%増)

に増加し、過去最高を記録したことが報告されている。再生可能エネルギーの雇用は、中国が世界全体の46%にあたる740万人を占め、最も多い。次いで、EUが180万人、ブラジルが156万人、米国とインドがそれぞれ100万人近い雇用を創出している。

 一方、日本ではサービス業を中心に人手不足が続き、世界の流れとは逆行しているが、今後は再生可能エネルギー関連の雇用創出に期待がかかる。そして、パリ協定の目標実現に向けて、各国の取り組みがますます重要となるだろう。

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