日産9000人削減の衝撃! ゴーン前会長が残した3つの“負の遺産”とは何か? 「ルノー支配」「販売偏重」のツケが招いた辛らつ現実を再考する

キーワード :
,
日産自動車が深刻な危機に直面している。営業利益90%減、純利益93%減という9月中間決算の数字が示すのは、単なる一時的な低迷ではなく、カルロス・ゴーン元CEOによる「負の遺産」による構造的な競争力低下だ。欧州偏重、ハイブリッド開発の遅れ、ブランド価値を損なった販売戦略が業績悪化を招き、次世代自動車への対応が急務となっている。ルノーとの関係見直しやホンダとの提携による巻き返しを図るが、その道のりは険しい。

ゴーン氏が残した三つの「負の遺産」

日産の元会長カルロス・ゴーン氏の記者会見の様子(画像:AFP=時事)
日産の元会長カルロス・ゴーン氏の記者会見の様子(画像:AFP=時事)

 ゴーン氏が残した「負の遺産」は、次の三つだ。

・欧州重視、米国・中国の環境変化への対応が後手に
・ハイブリッド車(HEV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)のラインアップを持たない
・販売重視、販売奨励金をつぎこんでブランド毀損(きそん)

これらについて詳しく解説していく。

●欧州重視、米国・中国の環境変化への対応が後手に
 日本の自動車メーカーはかつて、日本・米国・欧州での事業展開を重視していた。ところが、それはもう20年以上前の話だ。今は欧州を縮小して、日本・米国・アジア(中国など)を重視する時代となっている。欧州市場は成長性が低い上、ドイツの自動車メーカーが強く、日本の自動車メーカーは苦戦を強いられてきた。ホンダは英国が欧州連合(EU)から脱退したことを契機に、2021年に英国工場を閉鎖し、欧州での生産から撤退した。

 ところが、日産は2021年まで、仏ルノーに43.3%の議決権を握られていた上に、2017年までゴーン氏がルノーと日産のCEOを務めていたため、欧州事業を重視せざるを得なかった。欧州事業は、今般発表した中間決算でも232億円の営業赤字で、業績の足を引っ張っている。

 日産は、経営危機に陥っていた1999年にルノーから約8000億円の出資を受け、経営危機を脱した。そのとき、CEOに就任したゴーン氏のもとで1兆円を超えるコストカットを行って財務を立て直した。

 その頃のゴーン氏の発言で、私がよく覚えているのは、

「人件費の高い国には投資しない」

である。日本ではなく、メキシコなど新興国に積極投資していく戦略を説明するときに出ていた言葉だ。それは、日産が生き残るために必要なことだった。

 ところが、ルノーのCEOを兼務するようになってから、人件費が高いフランスに生産を移していく戦略をとった。それは、当初聞いていた話から考えると、整合性がない。ルノーにはフランス政府が15%出資しており、

「フランス政府の意向」

がゴーン氏の経営に影響したと考えられる。

全てのコメントを見る