最近、街なかで「社名入りの歩道橋」をよく見かけますが、なぜ増えているのでしょうか?
日本初の歩道橋が完成してから約65年。老朽化や少子高齢化の影響で撤去されるケースが増えるなか、今、新たな維持管理策として注目されるのが「ネーミングライツ」だ。名古屋や大阪では、企業が支援することで施設の名前に自社名を冠し、地域貢献とPR効果を狙う取り組みが進行中。全国に1万基以上存在する歩道橋に、企業名が冠される未来が迫っている。
ネーミングライツに期待すること

これまで多くの児童生徒が利用してきた歩道橋にも、さまざまな変化が起きている。老朽化により撤去されるものもあれば、
・道路の整備
・少子高齢化
・バリアフリー化
などの影響で利用者が減り、撤去されることもある。また、現存する歩道橋のなかには、建設から50年以上が経過しており、修繕が必要なものも少なくない。
こうした状況のなかで、歩道橋をなくして横断歩道を作ればよいと考える人もいるかもしれない。しかし、歩道橋は
「車道から立体的に歩行者を分離する役割」
を果たし、特に登下校する子どもたちを交通事故から守る大切な存在なのだ。
実際、歩道橋は学校の近くに設置されることが多く、利用者の多くは児童であり、場所によっては“なくてはならない存在”となっている。筆者(小島聖夏、フリーライター)も、通っていた小学校がクルマ通りの多い道路を横断した先にあり、毎日歩道橋を使って登校していた。
今あるすべての歩道橋を自治体の力だけで維持するのは現実的には難しい。しかし、今後は多くの地域でネーミングライツを取り入れることによって、財源の確保や地域貢献が期待できるかもしれない。