最近、街なかで「社名入りの歩道橋」をよく見かけますが、なぜ増えているのでしょうか?

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日本初の歩道橋が完成してから約65年。老朽化や少子高齢化の影響で撤去されるケースが増えるなか、今、新たな維持管理策として注目されるのが「ネーミングライツ」だ。名古屋や大阪では、企業が支援することで施設の名前に自社名を冠し、地域貢献とPR効果を狙う取り組みが進行中。全国に1万基以上存在する歩道橋に、企業名が冠される未来が迫っている。

歩道橋のネーミングライツ

大阪府が全国で初めて歩道橋のネーミングライツ事業を実施(画像:大阪府)
大阪府が全国で初めて歩道橋のネーミングライツ事業を実施(画像:大阪府)

 国土交通省の2022年度調査によると、全国には1万1786基の歩道橋がある。その多くは1960~1970年代に設置され、老朽化が進んでいる。

 しかし、リーマンショック以降、地方自治体の財政は厳しく、歩道橋の維持管理が困難になっているのが現実だ。そこで、歩道橋の「ネーミングライツ事業」が打開策として導入された。

 2024年9月1日時点で、最も多くの歩道橋にネーミングライツを取り入れているのは名古屋市で、同市では「歩道橋ネーミングライツパートナー事業」を実施している。この事業の目的は、「民間の資金を活用して道路施設の持続可能な維持管理を行い、企業の地域貢献の場とする」ことだ。

 また、大阪府が全国で初めて実施した「歩道橋ネーミングライツ事業」では、「歩道橋の名称(愛称)に企業や商品名に関する権利をパートナー企業に買い取っていただき、その収入を維持管理に充当することで、安心安全な道路づくり・府民サービスの向上をすすめる」としている。

 この取り組みでは、企業が年間20万~30万円の契約金を支払うことで、歩道橋の橋げた部分に自社名や愛称を表示することができる。一方、自治体はその収益を歩道橋の維持管理費や修繕費に充てることができる。

 このように企業にとっては、どのような効果が期待できるのだろうか。

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