「時速180km」なんて絶対出さないのに、自動車メーターはなぜこんな表示になっているのか?

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高速道路での最高速度違反が88万件を超え、法定速度を大きく上回る車の性能やスピードメーターの設定に疑問が生じている。自動車の最高速度がどのように決まるのか、安全性と実用性のバランスを考えると、ドライバーの注意が重要である。

「速度」に明確な根拠なし

高速道路を猛スピードで走る国産車(画像:写真AC)
高速道路を猛スピードで走る国産車(画像:写真AC)

 安全性やさまざまなケースを考慮して、法定速度を超える速度が表示されているスピードメーター。しかし、筆者(喜多崇由、フリーライター)が感じたのは、メーターや速度性能の設定基準が曖昧だという点だ。

 一般的には、日本自動車工業会や各自動車メーカーの自主規制がその根拠とされ、時速180kmという数字も

「6%の上り勾配を100km/hを維持するには、平坦路で180km/h相当の出力になる」

というものだが、これがいつ、どのように決められたかは明確ではない。

 自動車の性能は向上しており、この数値が安全を保ちながら実用的な性能を維持するために本当に必要なものかどうかは不明確だ。損保ジャパンの2024年3月号のマンスリーリポートによると、速度超過による死亡事故率は、超過しない場合の

「9.2倍」

に達し、車の衝撃力はスピードの2乗に比例するとしている。

「速度は命に直結する」

だけに、安全を確保しつつ、十分な性能を発揮できる速度性能についての検証が必要だ。もちろん、ドライバーが法定速度を守ることはいうまでもない。

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