外国人観光客が6年で45倍! 「城崎温泉」の成功に学ぶべき“おもてなし交通”の絶妙さ

キーワード :
, ,
インバウンド集客で目覚ましい成功を収めた兵庫・城崎温泉。来街者のデータ分析や官民連携組織の立ち上げもさることながら、実際に訪れて感じたのは「交通利便性」という行き届いた“おもてなし”だった。

2011年、外国人宿泊客は1000人ほど

城崎の町並み(画像:写真AC)
城崎の町並み(画像:写真AC)

 城崎温泉はどのようにして外国人に人気の温泉となったのか。まずは、その経緯を紹介する。

 城崎温泉は、2008(平成20)年に世界的に有名なガイドブック『ロンリープラネット』で「Best Onsen Town」として紹介された。掲載によって豊岡市を訪れる外国人観光客は少しずつ増えはしたものの、そこまでの増加率にはなっていない。

 2010年11月、交通系ICカードにも採用されているFeliCaチップを内蔵したICカードや、従来の紙の外湯券に代わって携帯電話を7つの外湯の入場券として利用することができる「デジタル外湯券ゆめぱ」(以下、ゆめぱ)を各旅館で導入した。

 これにより、複数枚の紙の外湯券を持ち運ぶ必要がなくなるという利便性の向上があった。しかし、実はこの「ゆめぱ」を導入した真の狙いは、宿泊客の行動データを集めることにあった。

「ゆめぱ」を利用するたびに発生するデータは、七つの外湯の男女別入浴者数を30分ごとに見られるだけでなく、宿泊客がどの店で何を買ったかを把握できる。旅館、入浴施設、そして商店にFeliCaの読み取り端末を置くことで、毎月約10万件の利用データが手に入り、以前は分からなかった客の動線が見えるようになったのだ。

 たとえば、近くの外湯に多くの客が入っていることが分かれば、通り道にある地ビール販売所に従業員を配置するなどの対応ができる。そのようにしてデータを活用しながら売上増につなげていった。ただ、この施策でも外国人観光客はそれほど増えず、2011年の外国人宿泊者数は1118人だった。

 2013年頃から本格的なインバウンド戦略に力を入れ始める。豊岡市は「大交流課」という国内外の観光客誘致と情報発信を担う課を設置。さらに、総務省の「地域おこし企業人」制度を利用し、旅行会社からの出向者を迎えるなど、民間の力を積極的に取り入れた。

全てのコメントを見る