自衛隊「職務中の死亡事故」はなぜ止まらないのか?4月のヘリ墜落で8人死亡、背後に潜む人災の実態とは

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自衛官の殉職事故が相次いでいる。これにともない、訓練方法や組織の安全意識が問われている。適切な対策が取られず、現場任せの風潮が根本的な問題を放置している。人員不足や疲労の蓄積が事故を引き起こしており、組織全体の見直しが急務だ。事故を防ぐためには、訓練方法の改善や教育体制の強化が不可欠であり、これを怠るとさらなる悲劇を招くことになる。

医官不足で部隊崩壊危機

海上自衛隊(画像:写真AC)
海上自衛隊(画像:写真AC)

 海自では、イージス艦の乗員は6割程度しかいない。乗組員の負担を軽減するために、もがみ級では本来3隻に4組のクルーを用意する予定だったが、実際にはそれが実現していない。

 筆者は、会見で当時の酒井海幕長や木原大臣にその理由を尋ねたが、回答は得られなかった。陸自の北部部隊では、定員の約45%しか充足されていない部隊もあり、その結果、部隊としての機能が崩壊している。

 医官についても、部隊の医官の充足率は2割強にとどまり、護衛艦や潜水艦には本来定員としている医官が乗り組んでいない。例外は海外派遣の場合のみで、航空医学や潜水医学といった自衛隊にとって重要な専門分野の医官は現在ひとりもいなくなっている。

 こうした状況に嫌気がさして自衛隊を去る隊員が非常に多い。組織の問題点や改善点を指摘すると、

「危険分子」

としていじめやパワハラ、セクハラの対象になることがある。それを理由に辞めようとすると問題視されるため、辞職理由を

「一身上の都合」

とする。だから防衛省は、大量に隊員が辞める理由を把握できていない。財務省から指摘されて渋々対策を講じるが、効果は上がっていない。

 その結果、残された隊員にはさらに負担がのしかかる。殉職事故の背景には、この

「病んだ組織文化」

があるのではないか。殉職事故を防ぐためには、その現場の原因だけでなく、背景や根本的な問題をしっかりと把握し、真摯(しんし)に反省することが重要だ。

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