自衛隊「職務中の死亡事故」はなぜ止まらないのか?4月のヘリ墜落で8人死亡、背後に潜む人災の実態とは
衝突事故の背後に潜むリスク

2024年4月20日22時半すぎ、伊豆諸島の鳥島東方海域で海上自衛隊の作戦能力を評価する「査閲」の一環として行われた潜水艦の探知・追尾訓練中、現場付近を飛行していた哨戒ヘリ3機のうち、SH60K型の2機が衝突し、乗員計8人が死亡した。
事故調査報告書によると、原因は安全運航の基本である
「乗員の見張りが不適切」
だったことにある。視認した目標についての機長への報告や乗員間の情報共有が十分ではなく、それぞれが相手機との距離を誤認していた可能性が指摘されている。また、高度管理も不十分だったとされている。2機はそれぞれ異なる指揮官の下で訓練に参加しており、指揮官は衝突回避のために高度差を確保するように指示していなかった。
この調査結果は、事故原因の「川下」だけを見ており、「上流」にある構造的な問題には触れていない。例えば、他国の海軍の哨戒ヘリは一般にソノブイ(音を探知し電波で伝える小型ブイ)を海に投下して目標を特定し、その後ヘリからデッピングソナーを使用して潜水艦を探知する。しかし、海上自衛隊の哨戒ヘリではソノブイをほとんど使用せず、デッピングソナーを多く使用している。
デッピングソナーを使用する場合は低空でホバリングをしなければならず、クルーは細心の注意が求められる。そのため、クルーの疲労が大きくなる可能性がある。本来はソノブイを投下すれば済むところを、デッピングソナーの過度な使用が事故を引き起こしたのではないか。
また、ソノブイを投下する場合は両機が同じ高度で飛行する必要はないが、デッピングソナーを使用する場合は同じ高度で飛ぶことになり、接触事故が起きやすくなる。特に夜間であれば、そのリスクはさらに高まる。さらに、海上自衛隊が調達しているソノブイの数は、米海軍と比べて極端に少ない。