自衛隊「職務中の死亡事故」はなぜ止まらないのか?4月のヘリ墜落で8人死亡、背後に潜む人災の実態とは
自衛官の殉職事故が相次いでいる。これにともない、訓練方法や組織の安全意識が問われている。適切な対策が取られず、現場任せの風潮が根本的な問題を放置している。人員不足や疲労の蓄積が事故を引き起こしており、組織全体の見直しが急務だ。事故を防ぐためには、訓練方法の改善や教育体制の強化が不可欠であり、これを怠るとさらなる悲劇を招くことになる。
現場任せの危険性

だが、これは現場に責任を押し付けているだけではないか。
他国の軍隊では、射撃訓練の際に教官が不測の事態に備えてヘルメットや防弾ベストを着用しているが、これがなかった。また、救急車も用意されておらず、衛生支援計画も立てていなかった。このような安全措置をとっていれば、
「助かる命」
があった可能性が高い。陸幕はこうした基本的な安全対策を怠ってきたといえる。
これらの事案に共通しているのは、現場だけを見て、
「現場に責任を押し付けようとしている」
点だ。事故の直接的な原因だけでなく、その「川上」に構造的な問題が存在しているにもかかわらず、それを無視している。これを直視すると、組織全体の見直しが必要になるからだろう。
さらにさかのぼると人員不足の問題もある。部隊や各種機関では充足率が非常に低い状態だ。人員が不足し、長時間労働を強いられる現場も多く、疲労が蓄積したり、目が届かずにミスが多発したりするのは当然のことだ。
事故を起こした海自の護衛艦搭載ヘリのクルーになるのは非常に難しい。海上の揺れる護衛艦からの離着艦、特に夜間や悪天候での離発着は厳しい。さらに、狭い艦内での長期の勤務に耐える必要もある。このため、地上のヘリ部隊よりも厳しい適性が求められる。その艦載ヘリのクルーも不足しており、現場にかかる負担は大きくなっている。