EVの「過失事故率」なぜガソリン車より高いのか? 走行距離は短く、安全に運転できるのに――というナゾ

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EVへの移行が進むなかで、維持費や事故リスクの増加が懸念されている。最新の研究によれば、EVの過失事故率は4%増加している。修理費はガソリン車よりも6.7%高く、タイヤのコストも増加している。しかし、燃料費の削減やメンテナンスコストの低下、環境への貢献といった大きなメリットも存在する。社会全体でのエコカー化は、揺るぎないトレンドとなっている。

忘れてはいけないメリット

論文「Are electric vehicles riskier? A comparative study of driving behaviour and insurance claims for internal combustion engine, hybrid and electric vehicles(電気自動車はより危険なのか? 内燃機関、ハイブリッド車、電気自動車の運転行動と保険請求の比較研究)」(画像:リムリック大学、バルセロナ大学)
論文「Are electric vehicles riskier? A comparative study of driving behaviour and insurance claims for internal combustion engine, hybrid and electric vehicles(電気自動車はより危険なのか? 内燃機関、ハイブリッド車、電気自動車の運転行動と保険請求の比較研究)」(画像:リムリック大学、バルセロナ大学)

 このように、ネガティブな話題が多い“EVかいわい”だが、その設計思想が私たちの社会にメリットをもたらすことを忘れてはいけない。

 まず、EVの最大のメリットは

「燃料費の削減」

だ。さらに、部品が多いガソリン車よりもメンテナンスが容易なため、今後EVが普及すれば、定期的なメンテナンスにかかるコストが大幅に低下する未来が期待されている。

 また、行政による各種普及刺激策も続いている。EV補助金や優遇税制、法人向けのEV充電器設置補助金などが用意されている。さらに、アクサダイレクトの「EV割引」や、各保険会社の“エコカー割引”も提供されている。

 今回の研究では、EVに乗り換えることで安全運転になる傾向があることも指摘されている。これにより交通違反が減少し、反則金のリスクが低くなる可能性がある。

 EVの普及にともない、そのメリットはますます大きくなっていくと考えられる。また、二酸化炭素排出量の低減という本来の目的も進んでいく。紆余(うよ)曲折や一時的な停滞、軌道修正があるかもしれないが、社会のエコカー化は揺るぎないトレンドであることを確認しておきたい。

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