ハイブリッド車はなぜ一部の国で普及していないのか? 日本とは異なる事情がある?【リレー連載】ハイブリッド・ア・ゴーゴー!(10)
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中東でのHV普及の壁
燃料価格はHVの普及に大きな影響を与えている。HVは燃費性能が高いことで知られているが、燃料価格が比較的安い地域では、そのメリットをあまり感じられず、依然としてガソリン車を選ぶ傾向が強い。
特に中東地域ではこの傾向が顕著で、石油資源が豊富でガソリン価格が安いため、HVを選ぶメリットが日本と比べて少ないと考えられる。
例えば、サウジアラビアでは1Lあたりのガソリン価格が0.5ドル程度だ。2021年には、オクタン価91(レギュラー)の価格をSR2.18(約83円)、オクタン価95(ハイオク)の価格をSR2.33(約90円)に据え置くという国王令が発令されたが、依然として普及率は日本と比べて低い。そのため、「燃費を気にするならHVを選ぶ」という風潮はあまり見られない。
さらに、HVの普及が進まない理由として、信頼性やメンテナンスコストの高さも挙げられる。特に、複雑なハイブリッドシステムの維持には高度な技術が必要で、そのためにメンテナンスコストが高くなることがある。
実際、日本ではHVのバッテリー交換には高額な費用がかかることが多い。バッテリーの交換費用は車種によって異なるが、駆動用バッテリーの場合、20万円から40万円が相場とされている。また、交換時期は10万km前後とされているため、走行距離が増えるほどそのコスト負担が現実的になる。さらに、ハイブリッドシステム全体のメンテナンスも複雑で、通常のガソリン車やディーゼル車と比べて点検や修理にかかる費用が高くなることがある。
このようなメンテナンスコストの高さは特に中所得者層や低所得者層にとって大きな負担となり、HVの購入をためらわせる要因のひとつとなっている。ガソリン車に比べて環境性能は高いものの、コスト面やメンテナンスの必要性を懸念して、ガソリン車やディーゼル車を選ぶ消費者が少なくないという現状が、一部の国で続いている。