ベトナム「バンブー航空」はなぜ急失速したのか? 無謀過ぎた国際展開、元JALの取締役解任3か月という黒歴史も
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バンブー・エアウェイズの急速な縮小は、急激な拡大や長距離国際線進出が経営を圧迫したこと、さらにFLCグループ会長の逮捕が財政に打撃を与えたことが原因だ。ハイブリッドエアライン戦略も競争で不利となり、現在は国内線中心の運航に転換しているが、再建はまだ進行中だ。
問題点3:急ぎすぎた海外への拡大
筆者(前林広樹、交通ライター)が疑問に思うのは、ベトナム国内線だけでも十分に成長できたはずなのに、わずか数年で欧州やオーストラリアなどの長距離運行にまで進出してしまったことだ。
ベトナムは、首都のハノイと経済の中心地であるホーチミンが直線距離で1100km以上離れているほか、中部最大の都市ダナンもハノイ・ホーチミンからそれぞれ800km以上の距離にある。この3都市はいずれも人口100万人を超える大都市で、高速鉄道網がないため、航空路の需要は非常に高い。さらに、古都フエやリゾート地のニャチャン、フーコック島などもあり、国内だけでも一定の路線網を拡大しやすい環境にある。
加えて、ベトナムは経済が急成長しており、外資規制も存在するため、海外の強力な航空会社が参入しづらい状況だ。ベトナム航空やベトジェットエアといった航空会社があるものの、成長の余地は大きいといえる。
一方で、長距離国際線では直行便だけでなく、強力なハブ空港を持つ他国の航空会社との競争も考慮しなければならない。例えば、ベトナムと欧州の間では、エミレーツ航空やカタール航空、キャセイパシフィック航空、シンガポール航空といった非常に競争力の高い会社と競うことになるため、新興企業には不利な状況となりやすい。
このように競争が激しい長距離路線よりも、高成長かつ規制によって守られた国内線の方が成長の可能性が高いといえる。FLCグループの力を利用し、直営ホテルと組み合わせた旅行プランを販売するなどの差別化戦略を採用していれば、持続的なビジネスが可能だったのではないか。