コストコ大渋滞問題が暴露した「コミュニティーバス」の厳しい現実! 大商業施設オープンの交通計画に潜む盲点とは?

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沖縄県南城市のコストコ開店にともなう渋滞で、コミュニティーバスの運行が通常75分から10時間に延長。高齢者を中心に月1万5325人が利用し、影響は広がる。地域計画と交通インフラの連携強化が急務。柔軟な路線計画が持続可能な交通の鍵となる。

全国に広がる遅延問題

地域を走るさまざまなコミバス(画像:写真AC)
地域を走るさまざまなコミバス(画像:写真AC)

 日本におけるコミバスの歴史を振り返ると、1995(平成7)年11月26日に東京都武蔵野市で始まった「ムーバス」が初の事例とされている。

 ムーバスは、武蔵野市の拠点駅である吉祥寺駅周辺で運行を開始した。当時の市長に、高齢者が「吉祥寺駅近くまで買い物に出難くて困る」との声を寄せたことから、住宅街を小型バスが走ることで

「移動権(すべての人が自由に移動できる権利。この概念は特に公共交通の利用に関わっており、誰もが必要な場所にアクセスできることを保障することを目的としている)」

を確保するコミバスのスタイルが確立された。

 これは、今日の買い物難民問題を先取りした画期的な取り組みであり、外出を支援することで、高齢者が加齢や病気によって心身の機能が衰えるフレイル状態を避ける助けともなった。このため、交通業界だけでなく、医療や福祉の分野からも注目を集めた。現在、ムーバスは武蔵野市が関東バス、小田急バスに委託して運行されている。

 国土交通省のコミバス導入ガイドラインによれば、コミバスは

「交通空白地域・不便地域の解消等を図るため、市町村等が主体的に計画し運行するもの」

と定義されている。通常は地域のバス事業者に市町村が委託する形で運行される。運行開始後、武蔵野市の政策を模倣する市町村が全国に広まったものの、コミバスを

「取りあえず走らせよう」

という流れができてしまった。

「住宅街をまめに回り、交通弱者の外出を支援する」

という本来の目標は薄れ、効率的な小型バスで地域を回ることが優先されるようになった。結果として、

「路線バスの代替」

として幹線道路を走るコミバスが増え、南城市のように渋滞に巻き込まれる事例が多発している。路線バスの渋滞問題から“学ぶ”ことがなく、深刻な遅れが生じ、地域の交通手段としての信頼を失う事態になっている。

 全国各地では、イベントや大型施設のオープンによってコミバスの運行が大幅に遅れるケースが増えている。観光都市や生活都市では、観光シーズンに道路が混雑し、コミバスの運行が著しく遅延し、高齢者や学生の日常生活に影響を与えることも多い。

 また、観光地での祭りやイベントの際にも、コミバスが交通渋滞に巻き込まれて運行が遅れる事態が頻繁に報告されている。これらの問題を防ぐためには、コミバスの効果を薄めない事前の路線計画が非常に重要である。

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