「むしろ再配達が倍増する」 物流ジャーナリストの私が安易な「再配達有料化論」に警鐘を鳴らすワケ
「再配達削減のため、再配達を有料化すべきだ」、再配達が一向に減らないことからこんな意見が出始めているが、筆者は反対である。むしろ、再配達の有料化は、再配達を倍増させる危険がある。
常に合理的ではない人間

「人は常に合理的で、自身に最大の利益をもたらすように行動する」
と多くの人は思い込みがちだ。だがそれは頭でっかちな考え方であって、実際の人の行動は、一見すると矛盾だらけだ。これを解き明かすのが行動経済学なのだが、本稿の趣旨とはずれるので割愛する。
要は、行動経済学にそって考えれば、再配達を有料化した場合、日本の消費者も、罰金を科された保育園の保護者同様、「再配達料金を支払うんだから、再配達をお願いしてもいいよね」と免罪符を得て、
「堂々と再配達を利用し始める」
可能性が高いということだ。
もし、イスラエルの保育園同様の結果になるのであれば、再配達率は今の2倍、20%以上になる。断言するが、もし再配達率が今の2倍となったら、もはやドライバー不足に苦しめられている宅配業界は破綻する。
文字通り、荷主からすれば「運べない」「運んでくれない」、消費者からすれば「モノが届かない」「モノが買えない」時代がやってくることになるのだ。