「もはや鉄道ファンしか乗ってない」 廃線危機の留萌本線、沿線自治体が打ち出した最後の抵抗とは
JR北海道の留萌本線の廃止が議論されている理由とは。地元自治体でも反対の声が少ない一方、部分存続を模索する自治体もある。
現実は鉄道ファンばかりの車内

一方の留萌市では廃止を前提として、既に廃止後のプランを検討している。
これによれば留萌駅を取り壊し、跡地に体育館や文化センターなどが集約された公共施設を建設する予定だ。市役所機能の移転なども検討されており、協議は2022年度にもとりまとめられる予定になっている(『北海道建設新聞』2022年1月1日付)。
部分存続を目指す沼田町でも動きがある。2021年に示された「鉄道ルネサンス構想」だ。
これは、会員制度による道内全線乗り放題になる「フリーダムパスポート」を発行し、鉄道を観光資源として活用、安定した鉄道収入と利用促進を目指すというもの。沼田町では、この構想をJR北海道のほか、自治体や議員に説明し、議論を活性化させるとしている。
留萌本線の地元需要が、ほぼ皆無になっているのは揺るぎなき事実である。筆者が乗車した際も、平日日中にも拘わらず、乗客の半分近くはカメラを抱えた鉄道ファンたちだった。
そうした鉄道ファンを中心とした観光需要で、部分存続ができるだけの収益を上げられるのか。心情的には成功を祈念して止まないが、現実を見ると厳しいと言わざるを得ない。
なお2021年11月に留萌市で開催された「令和3年度 第2回留萌市地域公共交通活性化協議会 議事録」を見ると、同会の渡辺稔之会長(留萌市副市長)は
「道内では、網走市や南幌町などでAIを取り入れたデマンド交通に着手し注目を浴びており、他の自治体においても導入に向けた実証実験を行う動きが活発化している」
と発言している。