率直に問う 救急車「有料化」は、本当に“不適切利用”を撲滅できるのか?
救急車の有料化について議論が進んでおり、医療の質と効率をいかに向上させるかが今後の課題とされている。また、緊急度評価の向上やACPの普及も重要視されており、医療システム全体の改革が求められている。
緊急度判定のリスクと課題

総務省消防庁からの報告のまとめの続きを紹介する。
「緊急度判定体系において、緊急度に応じた傷病者の適切な搬送先・サービス等が整備され、適切な連携体制と振り分け機能が構築されることは、消防機関にとって重要な意味
を持っている」
緊急度判定では、軽症、中等症、重症などの緊急度が決定される。しかし、筆者が救命救急士への取材や報告書から感じた最大の懸念は、緊急度判定の「リスク」である。
たとえ軽症であっても、重症化や訴訟を恐れて搬送せざるを得ない場合もある。しかも、電話の状況確認だけで患者の生命を搬送するか否かを判断するリスクを、通信指令員(119番担当)が負うのは不合理である。
誰かが責任を持って緊急度判定を判断する必要がある。筆者はその立場にないので伝えることはできないが、国民的議論が必要であることは間違いない。
ただし、緊急度判定の実態は各消防本部によって異なり、救急需要などを加味して実施されていることに留意する必要がある。