新型「フェアレディZ」「ロードスター」が絶賛されればされるほど、スポーツカーの“落日”が浮き彫りになる皮肉現実

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現時点では、トラックを除けば、ATでもMTでも走れるのはスポーツカーだけである。スポーツカーをMTで走らせるかATで走らせるかという選択は、唯一無二のマニアックな選択でもある。

スポーツカーの存続と評価

シフトノブ(画像:写真AC)
シフトノブ(画像:写真AC)

 MTに対するATの位置づけは、かつては単に走りやすさだけを追求したものがほとんどだった。しかし、長年の着実な進化を経て、実用モデルだけでなく、スポーツカーなどのマニアックなモデルでも、その存在意義が十分に認められるようになった。

 スポーツカーには

「MTであるべきだ」

と強く信じている人もまだまだ多い。そんななか、スポーツカーにとって最も重要なことは、ドライバーに

「トータル性能」

を感じさせることである。このような健全な評価が生まれたことを素直に喜びたい。そしてこれは、クルマを構成するメカニズムの進化がもたらした新しい価値基準である。

 日産フェアレディZ NISMOのハイテクATやマツダ・ロードスターのMTが、正しい資質を持ったスポーツカーとして評価されることは、スポーツカーというカテゴリー自体が存亡の危機に直面しているからかもしれない。

 しかし、今後日本の自動車市場にスポーツカーが送り込まれる際には、日産フェアレディZやマツダ・ロードスターがベンチマークとして選ばれるだろう。そうした強い思いは、スポーツカーが絶滅危惧種であることと表裏一体である。

 しかし、ATにしろMTにしろ、将来自動運転が導入されたとき、ドライバーのクルマを適切にコントロールする能力は、新たな付加価値として再評価される可能性を秘めている。

 数十年後にそのような時代が来るかどうかはまだわからないが、いずれにせよ、クルマと操作の関係は今後も維持すべきだ。そんなことを考えさせられたフェアレディZとロードスターの高評価であった。

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