「トラックドライバー = かわいそう」という欺瞞! 荷主&メディアの餌食にされるのは、いつも現場労働者である
「ドライバー」を食い物にするメディア

「ドライバーがかわいそう」という論調が広まったのは、メディアの“功績”でもある。だがメディアが近年、「ドライバーがかわいそう」というニュースを報じたがるのは、
「数字が取れるから」
という側面があることも事実だ。インターネットの普及によって、情報過多になった今、情報そのものの価値よりも、「人々の関心・注目」を集めることが経済的価値を持つ、アテンション・エコノミー(関心経済)が広がった。
「もっとエモい記事を書いてください」
「そのテーマは、数字(閲覧数)が取れないので却下です」
筆者がメディア(これは文字メディアの場合もあれば、テレビ・ラジオの場合もある)担当者から要求される、この言葉こそが、アテンション・エコノミーの本質だ。そして低賃金で長時間酷使されてきた、「かわいそうな」ドライバーは、アテンション・エコノミーの
「格好の餌」
である。昨今ライターが増え、そして(特に)トラック輸送をテーマとしたニュースが一般メディアでも大きく取り上げられる機会が増えたのは、「かわいそうなドライバー」をテーマにすると、数字が取りやすいからである。
余談だが、物流従事者がテレビで取り上げられる物流ニュースについて、
「宅配やECばかりだよね」
と不満を訴えることがあるが、これもアテンション・エコノミーゆえである。消費者からイメージしやすいEC・宅配に比べ、物流の大半を占める企業間輸送は数字が取りにくく、したがってニュースにしにくいのだ。
話がずれてしまった。2024年問題を筆頭とする物流クライシスは、日本社会の将来を左右する一大事である。これを乗り越えるためには、「ドライバーがかわいそうだから」という、
「うわべだけの動機付け」
では、やがて限界が生じる。物流クライシスは、私たちの日常を徐々に侵食し始めている。この痛みを乗り越えるためには、「ドライバーがかわいそうだから」ではなく、
「なんのために今、痛みをがまんしなければならないのか」
その本質を多くの人がしっかりと理解する必要がある。