「公共交通の役割を果たせ」 近江鉄道など“地方路線維持”に上下分離方式続々、覚悟を決めた自治体も続くワケ

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滋賀県の近江鉄道線や熊本県のJR肥薩線など、公設民営の上下分離方式を導入する地方路線は少なくない。地方自治体は多額の出費が必要なのに、なぜ覚悟を決めたのだろうか。

熊本県が小規模自治体の費用を負担

人吉駅(画像:写真AC)
人吉駅(画像:写真AC)

 熊本県でも上下分離方式で再出発を決めた例がある。2020年の豪雨災害で不通となっているJR肥薩線の八代~人吉間51.8kmだ。国、熊本県、JR九州が4月上旬、鉄路を復旧し、上下分離方式で運行を再開することで合意した。

 近江鉄道線と異なるのは沿線自治体の規模が小さいことだ。近江鉄道線沿線10市町の人口が計約49万人なのに対し、八代~人吉間の八代市など4市町村は計約16万人。人口減少も急ペースで、その分持ち出し可能な予算が少なくなる。

 そこで熊本県が動いた。

 復旧費235億円のうち、沿線自治体の実質負担分となる約12億7000万円を熊本県が全額負担するとしたうえ、上下分離方式導入で年間約7億4000万円と試算した維持費のうち、沿線自治体負担分を約5000万円に抑えた。当初は約1億2000万円を想定していただけに、沿線自治体に配慮した格好だ。熊本県交通政策課は

「小規模自治体の負担を軽減しながら、鉄道を復旧して維持するにはやむを得ない」

と説明した。沿線の人吉市交通政策課は

「小規模自治体が支出できる額には限りがある。熊本県の方針はありがたい」

と喜んでいる。

 熊本県では、人吉市、湯前町などを走る第三セクターのくま川鉄道が上下分離方式で2025年度から全線運行を再開する。南阿蘇村と高森町を結ぶ南阿蘇鉄道高森線も2023年から上下分離方式で全線運行している。熊本県では上下分離方式を将来にわたって鉄道を支える仕組みという考えが定着しつつあるように見える。

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