北陸新幹線「敦賀延伸」 総事業費1.7兆円の代償とは? 「早く着く = 良い」ってビジネスマンの発想ですよね
モビリティの新しい世界へ、楽しく乗り出そう――。いつものニュースにはもう飽きた。だからこそ、本連載では新たなモビリティへの案内を始めたい。ゆるくても、本気。非専門ライターが描く、ユニークな目線と世界がここにある。
時間短縮の代償

福井・石川の地元では延伸による観光客の増加を見込んでいるようだが、ちょっと見通しが甘くないだろうか。甘いというか、観光客の内面に対する洞察が物足りないように思う。観光地というのは不思議なもので、
「ちょっと遠くて行きにくい場所」
だからこそ、唯一無二の価値を生み出したりする。
先日、私は群馬の伊香保温泉に旅行に行ってきたのだが、東京からのアクセスは決してよいとはいえなかった。上野駅から渋川駅まで特急で1時間半ほどかかり、さらにバスで30分ほど要した。帰りは新幹線に乗ることにしたが、高崎駅までの移動に1時間以上かかったため大差なかった。
でも、これだけ時間をかけたからこそ、着いた先では普段と違う心持ちで旅情を感じることができたともいえる。仮に東京駅から伊香保温泉まで新幹線を直通で通し、1時間足らずで移動できるようになったとしたら、温泉地としての魅力は激減するだろう。
「早ければ早いほどよい」
というのはビジネスマンの思考回路であって、観光客というのは20~30分の違いなどあまり気にしない。むしろ、やや辺ぴで行きにくい場所へわざわざ行くという、“移動そのもの”に喜びを感じたりするものだ。