イオンシネマ車いす騒動、ネットでの非難は論外! 「同情」も一種の差別か? “合理的配慮”の本質を考える
車いす問題、ネット炎上
3月16日、映画館チェーン「イオンシネマ」を運営するイオンエンターテイメント(東京都港区)は、従業員が来館者に不適切な対応をしたとして、謝罪文を発表した。
謝罪文では来館者に対して、従業員が移動を手伝う際に不適切な発言をしたと報告。「楽しみに当劇場にお越しいただいたにも関わらず、不適切な対応により大変不快なお思いをさせてしまいました」と述べている。
謝罪文では触れられていないが、問題となったのは前日の15日に「車いすインフルエンサー」の女性がエックス(旧ツイッター)で公表していたトラブルだとされる。
女性によると、イオンシネマで映画を鑑賞した際、これまで従業員が車いすの移動を手伝ってくれた。しかし、この日の映画鑑賞後、段差が危険であること、スタッフが限られていることを理由に、従業員が今後は別の映画館に行くように求めたという。女性はこの問題を提起し、実質的な“入場拒否”ともとれる従業員の発言に問題提起を行った。
女性の問題提起に対してイオンエンターテイメントはすぐに対応し、謝罪文の掲載に至った。この素早い対応から察するに、従業員への車いす来館者への対応も指導が進むと期待できる。
しかし、これで一件落着とはならなかった。このニュースがインターネット上で広まるにつれて、
「悪質クレーマーのカスタマーハラスメントである」
「車いす利用者は事前に連絡すべきだ」
「炎上商法にしか見えない」
「車椅子対応の研修には莫大な費用がかかる」
といったように、問題提起をした女性に対する誹謗(ひぼう)中傷が相次いだのである。SNS上では、「車いすを持ち上げて移動するのは危険」という医療・福祉関係者の意見など、一見論理的な意見が「錦の御旗」にされ、問題提起をした当事者の方が非難されている。
当事者からの問題提起は、企業側にとっても問題点を洗い出す上で価値あるものであったはずだ。にもかかわらず、当事者をあたかも悪質なクレーマーであるかのようにみなす悪質な意見がまん延しているのが現状なのだ。もはや異常としかいいようがない。