青信号の「フライング秒数」 東京ドライバーはロンドンより5倍も速かった! 急ぎすぎの日本人、事故の本質を考える
交通事故は他人や自分の命を奪う可能性があり、絶対に避けなければならない。交通事故を引き起こす要因について改めて学んでみよう。
情報処理能力と事故

このように事故を避けるためには、反応速度とともに適切な情報処理能力が必要になる。ドライバーを、
・無違反/事故2回以上
・2回以上違反/無事故
・事故2回以上/違反2回以上(事故とは関係ない違反)
・無違反/無事故
という四つのグループに分けて分析した海外の研究では、事故を起こした人に比べて無事故の人の情報処理能力が高かったことが明らかになっている。
また、面白いのが一番情報処理能力が高かったのが無事故・無違反ではなく、2回以上違反・無事故のグループだということだ。彼らはリスキーな運転をしているが、高い情報処理能力のおかげで事故を起こしていないと考えられる。
飲酒もこの情報処理能力に影響を与えるという。「一杯飲んだほうが、運転が滑らかになる」という人もいるように、飲酒前よりも飲酒後のほうが単純反応時間がやや早くなる傾向がある。
しかし、選択反応の誤反応は、ウイスキーのシングル1~2杯で約10%、3~4杯では30%以上増えるという。いつもは丁寧な運転をしているドライバーも酒が入ると雑になることがあるといい、やはり飲酒運転は避けるべきものだということがわかる。
職業ドライバーは一般のドライバーよりも安全意識が高く、運転技術も高いことが多いが、長時間、しかも悪条件下でも運転しなければならないという問題がある。
人間には、サーカディアンリズム(概日リズム)と呼ばれる大脳の活動水準の変動がある。これによると、朝起きてから正午にかけてが大脳活動が苦心する時期で、午後から低下し、明け方が最低になる。いくら運転に慣れていても、こうした脳の活動の影響で事故を起こしてしまうこともあるのだ。