青信号の「フライング秒数」 東京ドライバーはロンドンより5倍も速かった! 急ぎすぎの日本人、事故の本質を考える

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交通事故は他人や自分の命を奪う可能性があり、絶対に避けなければならない。交通事故を引き起こす要因について改めて学んでみよう。

事故学の教訓

青信号(画像:写真AC)
青信号(画像:写真AC)

 自動車を運転していて怖いのが事故である。誰しもミスをしそうになった経験はあるはずだが、運転におけるミスは他人や自分の命を奪いかねないものであり、避けなければならない。今回紹介する石田敏郎『交通事故学』(新潮社)は、どのようなときにミス、そして事故が起きやすいのかを教えてくれる本である。

 事故を起こさないために必要なのは危険に気づくことであり、次にその危険に正しく対処することである。刺激が現れてから、それに対処するまでの時間を

「反応時間」

というが、路上の一般ドライバーの反応時間を測定した実験によると、最も頻度が高かったのが0.6秒、平均は0.7秒で、なかには2秒かかった人もいるという。

 この反応時間が最も速いのは20代のときで、個人差もあるが40代で20~30%、60代になると倍近くも遅れてしまうという。この反応時間を短くすることができれば事故は減らせるわけだが、そう簡単なものでもないという。

 事故を防ぐためには単純に反応するわけではなく、適切な回避行動を取る必要がある。本書では、運転初心者の事故として、一般道を時速100kmほどで走っていて、橋の上の緩やかな右カーブに差し掛かったところ、突然犬が飛び出してきたので、左にハンドルを切ったら歩道の縁石に接触し、今度は慌てて右にハンドルを切ったら、スピンして橋の下に落下してしまったという事故が紹介されている。

 若者なので、反応速度は速かったかもしれないが、ブレーキを踏まずにすべてハンドル操作で切り抜けようと判断を誤ったために大きな事故につながってしまったのだ。

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